地域性から明らかになる「だし」の特徴

料理には欠かせない美味しさのヒミツは「だし」にあります。

『だし』といっても様々であり、近年は家庭用として簡単に使える、

だし関連商品もあり、スーパーなどにはたくさん並んでいます。

前回もお話しした「郷土料理」についても、

各地域に根付いた食材を生かしたものが数多く知られています。

そこで、だしに密接に関わる地域性を反映しているものの中で、

うどんなどの麺類と、ご飯についての食文化に触れていこうと思います。


うどんとその仲間

うどんは小麦粉を製粉して切麺にしたもので、

その加工技術は中国から伝わりました。

小麦粉を使った麺は、うどんやそうめんの他にも、

ほうとうやおっきりこみ、ひもかわうどんなど、各地で特徴があります。

それぞれの地域で、麺と具材、特徴ある「だし」で仕上げています。


うどんの歴史

うどんの原型は、室町時代に普及し始めたといわれています。

小麦粉を練った塊を麺棒で薄くのばし、細長く切る麺が「切り麦」でした。

切り麦をゆでて熱いうちにせいろに盛って食べるのが「熱麦(あつむぎ)」、

冷やして洗って盛るのが「冷麦(ひやむぎ)」、

熱い汁に入れて食べるのが「うどん」だったのです。


そうめんの歴史

奈良時代に小麦と米粉、塩を水で練った菓子「索餅(さくべい)」が元祖で、

粉を油を使ってのばしたものが「そうめん」です。

油を使うことで、麺はどんどん細くできるようになったのです。


特徴ある「だし」

古来から、関東では醤油重視の味付け、

関西では昆布をはじめとする「だし」が重視されていました。

それらの「だし」と「調味料」の特徴をまとめてみました。


だし 調味料
 東北地方 煮干し、焼き干し、かつお節、さば節、宗田節 濃口醤油、みりんなど
関東・甲信越地方 かつお節、さば節、宗田節(枯れ節・荒節)、煮干し、昆布 濃口醤油、みりんなど
 中部地方 さば節、むろあじ節、宗田節、かつお節(荒節)、昆布 濃口醤油、たまり醤油、白醤油、淡口醤油、八丁味噌、みりん、砂糖など
 関西地方 昆布、かつお節(荒節)、さば節、宗田節、うるめいわし節 淡口醤油、みりん、塩など
 中国・四国地方 カタクチイワシの煮干し(いりこ) 淡口醤油、濃口醤油、ざらめ、みりんなど
 九州地方 煮干し(いりこ・アゴ)、かつお節、昆布 甘口醤油、みりん、砂糖など










ごはんと餅

お正月に欠かせないお雑煮などをはじめ、

日本の食文化の歴史を振り返っても、米の重要性は確かなものです。

米は、貨幣と同等の価値を持っており、

農民は「年貢」として幕府に納めていたほどです。

前にもお話しした通り、日本の食文化が注目をあびている理由のひとつに、

「和食」が育った背景には、年中行事と密接に関わっていることにあります。

それが最も表れている料理が「雑煮」です。


雑煮には「餅」を使いますが、

餅は庶民にとっては、神が宿る特別な存在として敬われてきました。

丸餅か、切り餅か、だしの味付けはすまし汁なのか、みそ仕立てなのか、

雑煮には地域性と食文化がよく表れています。


代表的な各地の「雑煮」

だしの素材
岩手県 焼いた角餅 醤油味が一般的。一部の地域では、具に豆腐やゴボウなどを入れ、ごまだれやミルクだれにつける。
東京都 焼いた角餅 かつお節でだしをとった醤油味のすまし汁。具は鶏肉、小松菜、かまぼこなど。
福井県 煮た丸餅 昆布とかつお節のだしに味噌で味付け。カブ、カブの葉を加える。
京都府 煮た丸餅 昆布でとっただしに、白味噌で味付け。
島根県 煮た丸餅 醤油味のすまし汁。出雲地方は、具はなくぜんざいのような「小豆雑煮」。
香川県 餡入り餅 白味噌仕立て。具はダイコン、ニンジン、サトイモなど。
福岡県 餡入り餅あごだし、昆布、鶏肉だしなどで、醤油で味付け。










さいごに

日本の食文化は、地域性と年中行事に大きく影響されています。

これは「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録された理由でもあり、

自然の恵みである「食」を分け合い、食の時間を共にすることで、

家族や地域が絆を深めてきたことは、素晴らしいことです。

『だし』というと、日本食を思いがちですが、

世界にも素材からうま味をひきだした「だし」を使った料理がたくさんあります。

次回は、世界に目を向けて料理の「だし」についてお話しします。

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