世界の料理から学ぶ「だし」と「調味料」

呼び方や素材は違っても、世界では素材からうま味をひきだした、

様々な「だし」が使われています。

今回は世界に目を向けて、世界の主な料理とだしについて、

西洋料理中国料理韓国料理のお話しをしていきます。


西洋料理とだし

すべての西洋料理のルーツはイタリア料理にります。

フランスをはじめ、イタリア以外のヨーロッパでは、イタリア料理が入ってくるまで、

ナイフやフォーク、スプーンという道具がありませんでした。

つまり「手」で食事をしていたのです。

そのため、液体よりも個体の方が食べやすく、

またパンに液体を浸して食べる場合も、

サラサラした液体よりも、ドロッとした粘性のある液体の方が浸しやすいため、

フランス料理のソースは、オイルやバターを使う濃いソースなのです。


西洋料理に使われる「調味料」

西洋料理に使われる調味料を、日本料理と比較してみましょう。

①オイルを多用すること

②「だし」は主に肉、野菜などを利用すること

③料理の目的に応じて「だし」も変えること

しかし、日本料理との共通点もあります。

それは、醤油や味噌などと同様に、発酵調味料を使うことです。

西洋料理に使われる発酵調味料とは、

ブドウなどの果物を発酵させたワインやワインビネガーです。


西洋料理に使われる「だし」

西洋料理で「だし」をとるポイントをまとめてみました。

①新鮮な食材を使う

材料のうま味や香りと共に臭みも出るので、なるべく新鮮な食材を使う

②適正な量でとる

少量だとだしが出にくいため、ある程度の量をまとめて作る

③火加減に注意する

沸騰させるとアクや脂が液体に混ざって、だしが濁る

④アクや脂をていねいにとる

こまめに取り除くことで、雑味のない澄んだだしがとれる

⑤ふたをしない

ふたをすると、アクが混ざったり香りがこもったりする

肉を使う時は深い鍋、魚を使う時は広口鍋が適している

では次に、西洋料理の「だし」を学ぶために、

フランス料理とイタリア料理について調べてみましょう。


フランス料理のだし

フランス料理のだしは、「フォン」「ブイヨン」です。

フォン( fond:土台)は主にソースのベースになり、

ブイヨンはスープのベースになります。

どちらも牛や鶏、魚などと野菜と組み合わせてとります。

ブイヨンはそのまま材料を煮込むのに対して、

フォンは肉や魚を焼いたり、炒めたりして煮込む「茶色いフォン」と、

素材をそのまま煮込む「白いフォン」があります。

またフォンの仲間で「ジュ」があり、これはジュース、つまり「肉汁」です。


ブイヨンからスープへ

ブイヨンは、丸鶏や牛すね肉、タマネギやセロリなどの野菜を、

焼いたリ炒めたりせずに、ゆでていきますが、材料に肉類の骨は入りません。

このブイヨンに、肉や野菜を加えて、さらに煮たものが「スープ」となります。

フランス料理のスープを「ポタージュ」といいます。

おのポタージュは「クルール」と「リエ」に分類され、

クルールは透明なスープ、リエはとろみがついたスープです。


フォンからソースへ

フォンにバターと小麦粉を加えてとろみをつけたものが「ルー」です。

フォンやルーに、様々な手を加えたものが「ソース」となります。

ルーやソースは、メインとなる食材やそのだしの種類に合わせて作られます。


イタリア料理のだし

イタリア料理は、もともと豊富な野菜や魚介類などを、

たっぷりの水で煮て「美味しい煮汁」も得る、というのが基本です。

南北に長いイタリアの地形は、日本と同様に多様な特徴を持ち、

それぞれの環境によって、郷土色にあふれた料理が作られています。

例えば、南イタリアでは、オリーブオイルやトマトを多用し、

地中海沿岸では、ヨーロッパでは珍しいタコやイカを食べます。

北イタリアでは、バターや生クリームを使った料理が多いです。

このように、郷土の食材や料理に合わせて、だしも変化しています。












中国料理とだし

中国料理は、歴史的にも地理的にも広範囲なため、かなり複雑です。

王朝の交代によって、新しい料理が生まれては消えるの繰り返しです。

まずは、その歴史から紐解いていきましょう。


中国料理とだしの歴史

中国料理のだしは「(たん)」といいます。

「湯」は熱い液体を意味し、肉に限らず食材を煮だし、うま味をだした液体で、

料理に使われるものと、スープそのものを楽しむものがあります。

広い国土と長い歴史の中で、食文化が多種多様に発展したのです。


中国料理の特徴

すべての中国料理には「医食同源」という言葉が根付いています。

これは、食べ物が薬となるのだから、

薬品に頼る前に、日々の食事で健康を維持するべき、という考え方です。

「医食同源」は「薬食同源」とも言われています。

料理に漢方薬を組み合わせる技術も、古くからあったそうです。

中国料理の食べ物に関する考えの土台には「陰陽五行説」があります。

つまり、中国料理の土台には、

陰陽五行説に基づいた「食べ物の性質(食性)」と「(食味)」

組み合わせが大切なのです。


食べ物の性質(食性)

食べ物には温性・熱性・寒性・涼性・平性の5つの食性があり、

体を温める作用と冷ます作用とに分けられます。


体を温めるトウガラシ・コショウ・山椒・ニラ・ニンニク・ショウガなど体が温めることで、内臓も温まり、血流が良くなり気力が増す。
体を冷ますホウレンソウ・セロリ・ナス・トマト・キュウリ・ダイコンなど体内で発生する炎症を抑え、解毒作用や利尿作用が期待される。
味(食味)

食べ物には甘い・しょっぱい・すっぱい・辛い・苦い

五味があると考えます。

中国の古典医学では、生薬のもつ「五味」が、

五臓の働きと繋がっているという法則があるといいます。


中国料理のだしの素材と種類

基本は「豚」で、骨やガラがふんだんに使われますが、

深みがでにくいので「鶏」も使われます。

鶏の脚先(モミジ)、豚のひざの関節(ゲンコツ)などは、

うま味とゼラチン質を作りだす材料として活用されています。


種類特徴
頂 湯  (チョンタン)広東料理の高級スープ用で使われるだし

豚の赤身肉、老母鶏、金華ハム、干し貝柱などの高級乾物をたっぷりと使う。

濃厚なおいしさで、赤い色の澄んだスープ。

味付けは塩以外の調味料はあまり使わない。
上 湯  (シャンタン)広東料理の一般的なだしで使われる。

頂湯よりは材料の種合が少ないが、金華ハムが入るので上等なだし。

調味料は塩程度。
清 湯  (チンタン)四川料理で使われるだし

鶏ガラやひね鶏からとった毛湯をクリアにするため、鶏肉や豚肉のミンチを利用して、アクと濁りを取り除く。
毛 湯  (マオタン)四川料理で使われるだし

鶏ガラやひね鶏、豚の骨などからとり、色は薄い。(日本の鶏ガラスープ)
白 湯  (パイタン) とんこつスープのことで、豚の脂を加えて作る濃厚スープ

油脂を乳化させて白濁した状態にする。

乳化を安定させるため、強火で煮立て強く対流させる。

中国料理のだしのとりかた

中国料理は地域ごとに北京、上海、四川、広東の4つの料理に分けられます。

「だし」は、地方の料理と共に発達してきたため、

同じようなものでも、地方によって名前が違います。

だしのとりかたは、素材を大きく切り、表面のアクをとって水に入れて加熱し、

沸騰後にネギやショウガなどの香味野菜を入れるのが、基本的な方法です。

澄んだ状態に仕上げるには、弱い沸騰状態が良いです。

強く対流させると、油脂によてにごりがでて乳化してしまいます。












韓国料理とだし

韓国には、数千年の歴史と共に発展してきた食文化があります。

韓国は温帯気候で、四季が明確なので、

季節によって生産される穀類、豆類、野菜類、魚介類が多様です。

それらを利用した主食・副食と、

醤油類、みそ類、キムチ、塩辛類などの貯蔵・発酵食品が発達しています。

そこで、韓国の食べ物の特徴から見ていきます。


韓国の食べ物の特徴

①主食と副食が分離して発達

飯、粥、麺、餅スープ、すいとん、韓国餃子などを主食とし、

主食に合わせたおかずを副食として、バランスがとれている。

②料理の種類と調理法が多様

飯、汁もの、蒸し物、焼き物、チヂミ、野菜の和え物、煮物など。

切ったり、煮たり、湯がいたり、蒸したりと調理方法も様々。

③料理の多彩な味と粋

様々な薬味を使い、韓国特有の味わいを出す。

木の実、薄焼き卵、キノコ類などで美しく装飾している。

④陰陽五行と医食同源

陰陽五行に基づき、料理に五色の材料や飾りをする。

⑤銘々膳を基本

料理は銘々膳に配膳し、おかずの種類は3、5、7、9、12と決められている。

⑥郷土料理と歳時料理、貯蔵食品と発酵食品

各地域の特産品を利用した郷土料理と、

旬の食材を使用した醤油類、みそ類、塩辛、キムチなどが発達している。

⑦通過儀礼の料理とマナー

誕生日、婚礼、喪礼、祭礼などに伴う料理が発達している。


韓国料理のだしの種類とスープ

韓国は「スープ」の種類がたくさんあります。

そこで、だしの種類とスープについてまとめてみました。


基本のだし特徴スープ
だしの種類煮干し+昆布だしタマネギ・酒・黒コショウ・赤唐辛子どんな食材にも合うあっさりとしたスープブゴク 干しダラ、豆腐を入れて、ごま油、塩、酒で味付けした干しダラのスープ
スントゥブ おぼろ豆腐、アサリ、豚肩ロース、タマネギ、長ネギを入れて、ピリ辛チゲだれとごま油で味付け
牛+昆布だしタマネギ・長ネギ・ダイコン・ニンニク・黒コショウ軟骨やテール、牛すね肉などを使い、澄んだスープユッケジャン すね肉、イモガラ、長ネギなどを入れて、醤油、ニンニク、ごま油などで味付け
鶏+昆布だしタマネギ・長ネギ・ダイコン・ニンニク・ショウガ・黒コショウ丸鶏に加え、手羽先や鶏ガラ、モモ肉、モミジなどを使うサムゲタン 鶏の中に、もち米やナツメ、ニンニク、朝鮮人参を詰めてコトコト煮込む
カブとジャガイモのスープ カブ、ジャガイモ、ニンニクを入れて、塩コショウで味付けし、たれ(醤油・コチジャン・ニンニク・ショウガ・粉唐辛子・酒)をかける

さいごに

日本料理に限らず、世界の料理にも様々な「だし」があり、

長い歴史の中で発展してきたものです。

これらの知識を学ぶことで、今後の食文化をさらに楽しむことができます。

前にもお話しした通り、

だしの「おいしさ」を構成する要素の一つは『うま味』です。

次回からは、その『うま味』をもっと掘り下げ、

また、だし素材の栄養素について解説していきます。

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